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手がスカートの中を探っていると、その手中には小刀が握られていた。
そう思ったのも束の間、ヒュンっと空を切る音がしたかと思えば、男の悲痛な声が聞こえる。
「ギャアアアッ!?」
男の太ももに、先ほどまで彼女の手にあった小刀が刺さっていた。
「貴様っ忍の類かっ!?」
仲間がやられた焦燥感からか、声が上ずっている。
「囲め!人数はこちらが勝っているのだ」
「ならこっちは……」
再び構えた彼女に、男たちも警戒を強めてジリジリと間を詰めていく。
「逃げるが勝ち、です」
瞬間、脱兎のごとく走る彼女に男たちは面食らった。しかし、ハッ、とするとすぐさま追い掛けてくる。
彼女は、野次馬の人混み目指して一直線に駆けた。いくら目立つ格好だと言っても、あの中に紛れながらなら逃げられるはずだ。
そう思考を巡らせ走ること数十メートル。
ズキン
「っあぁ!?」
彼女は頭が割れそうな痛みを感じて、倒れこむ。そのままうずくまり、頭を抱えていた。
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