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目を開けると、それは見事な青空が広がっていた。何度かパチパチと瞬きを繰り返すと、驚いたように飛び起きる。
しかし、途端に立ちくらみに襲われて片手を額に。片手を体を支えるために地面についた。そうしてやり過ごしていると、ふ、と気が付く。地面についていた手の方に視線と集中が集まった。
「……………」
彼女の時間が一瞬止まった。
彼女の視線の先には青々と草が茂っていたのだ。
自分はいつの間に外に出たのか、と考えてみるものの全く記憶がない。
更に追い討ちをかけるかのように、聞こえるはずのないさぁぁぁっと言う音が届く。恐る恐る額に当てていた手を外す。
塞がっていた視界に飛び込んできたのは、それはもう涼しげに流れる川だった。彼女は目を見張って口をパクパクとさせる。
「……なん………で……」
そんな口からやっと声になったのは、か細い絞りだした声。もちろん聞いてくれる人はおらず、辺りを見回した。
どうやら自分は川の岸部の草むらに寝ていたようだ。
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