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日常
がちゃ…ばたん。
ああ、彼女が帰ってきたみたいだ。
―お帰り。
「ただいまぁ…。」
―どうしたの?暗い顔して。
「はぁ…またフラれちゃったよ…。」
―僕がこの部屋に住み始めてから、何連敗だっけ?
「あーあ。これで7連敗かー…あたしってきっと女としての魅力がないんだなー。」
―そんなことないよ。周りが気付いていないだけさ。そのうち、わかってくれる人に出会えるよ。
「何も言わずに話を聞いてくれるのは君だけだよー、ひーん。」
ひとしきり泣いて、涙腺の蛇口が閉じたのか、彼女は僕をじっと見つめる。
薄く濡れた瞳。
頬に残る幾筋の涙の跡。
僕も彼女を見つめ返した。
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