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元夫から、浮気相手の女と彼自身の為に買ったという携帯電話を取り上げてあったことを由美子が思い出したのはその頃だった。
女の携帯は解約したのかどうかさえわからず終いであったし、元夫も取り上げた携帯以外にも携帯を持っている可能性はあった。
しかしもう、そんなことはどうでも良かったのだ。
ひょんなことから子供の同級生の母親が、携帯電話の出会い系にハマっていることを知った由美子は、その母親から『メル友』と言う言葉を教えられた。
当時はまだ、携帯電話の普及率も今ほどではなく、専業主婦で携帯を持っている人の方がおそらく少なかったのではないだろうか。
だから、子供の同級生の母親に教えられたサイトに募集をかけた由美子は、それでもまだ半信半疑だった。
顔もわからぬ相手に、そうそうメールなど来る筈もないだろうと高を括っていた。
ところが――
メールは殺人的な勢いで次々と送られてきた。
正直に38才だと表示しているにも関わらず、高校生や20代からのメールが多いことに由美子は面食らった。
由美子の目的はひとつだった。
自分に欲情してくれる男と、セックスすること――それだけだった。
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