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およの住む札幌の街には九つの区があり、それぞれの区に人口200万人を管轄する警察署がある。
自宅のあるN区から区境界線をまたぎ、札幌で二番目に大きな河を右手に見ながらK区の暑までは車で約15分くらいの距離。
完全に都市整備計画の恩恵を受けて造成されたこの街は、綺麗な碁盤の目を連想させるくらい整っている。
河川敷には植樹された木々が等間隔にならんでいる。
『なんの木だろ?』
カラカラに渇いた俺の口から、ボソリと出てきた言葉はデカの耳には聞こえてないらしい。
おそらく言葉にもなってなかったのだろう…
手錠を打った新米が
『今日は暑いですね~』
と車のハンドルを10時10分に握りながら言う。
『…』
これにも全員無反応だ。
おそらく俺の言葉も聞こえてたのかもしれない。
しかし、容疑者連行の職務中という重々しい状況が‘会話’という人間的な行為を全て拒否し続けている。
当たり前だ。
これからはじまる‘調べ’において、彼等は鬼となり俺を追い詰める覚悟を決めているのだから。
道路を直角に4度程曲がり、デカと容疑者はK暑にたどり着いた。
続く…
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