チェンジボイス

カナリア

学校での授業が終わり、放課後になると、沢山の生徒達が部活に出かけたり、残って勉強したり、疲れた顔を覗かせながら帰宅する人など一気に校内はにぎやかになる。

その賑やかさとは別に、多くの生徒が集まっている場所があった、『音楽室』 どうやら合唱部の練習を見学しているようだ、しかし並みの数ではない、しばらくすると室内にピアノの伴奏が響き、部員達が歌い初めた、その中に一際 綺麗で美しい歌声を響かせている女子生徒がいた、彼女の歌声を聞きつけ、また人が集まって来る。どうやら周りの群衆の狙いは彼女のようだ、確かにその気持ちは理解できる、彼女の歌声は毎日学業に忙しい学生達にとって１日の疲れを癒してくれる歌声のマッサージ、心の中に染み渡る様な温かさがある。
そう考えをめぐらせている間に曲が終わろうとしていた。
歌声がやみ、ピアノが最後の節を弾き終えると、一斉に周囲から拍手が鳴り、音楽室は歓喜に包まれた。 皆の拍手の対象は先ほど素晴らしい歌声を聞かせてくれた、女子生徒に向けられていた、その生徒の名前は加奈。
美しい声を持つ校内のカナリア･･･。