カナリア

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この日は休日、加奈は優一が相談に乗って欲しい事があると言われて優一の家に向かった。 「いらっしゃい、加奈ちゃん、さああがって」 「おじゃましま~す」 加奈は優一の部屋に通された、部屋の中には、大きな熊のぬいぐるみが待ち構えていた、明らかに普通の高校生の男子の部屋ではない。 飲み物を持ってきた優一はそれを加奈の目の前に置き 「早速だけど、本題に入らせてね。」 「うん、いいよ。」 そう言って加奈はストローをくわえてジュースを飲み初めた。 「加奈ちゃん、この前は役に立ったけど、僕やっぱりこの声いやなんだ、だから、自分の声を変えたいんだよ!」 相談と言うからてっきり、好きな子でもいるのかと思っていたが、自分の声ときたか、それは考えなかったなと加奈はストローをくわえながら思った、確かに優一のキャラと声は正反対だ、可愛い弟みたいな子が、渋い低音の声だと知ったら相手はびっくりするだろう。 今は平気だが、自分も優一の声には驚いた一人だ。 「でも、自分の声は変えられないよ、受け入れるしかないんじゃない?。」 「実は偶然見つけたんだ、図書館の古い書庫で、自分の声を変えることのできる方法が載っている本を!」 そういいながら優一は古めかしい本をテーブルに上げた、表紙はボロボロで、ページはすっかり色あせてしまっている。 「怪しすぎない?、こんなのあてにならないわよ。」 当然の反応だと自分は思った。 「でも、こんなにボロボロってことは、色んな人が読んだってことでしょ?、なら本当かも!、それに、もし駄目だったら、素直に諦めるよ。」 相当、思い詰めている、仕方ない、駄目なら諦めると言っているということは、本人も少しの可能性に期待しているだけなのだろう。 付き合ってやるか! 「わかった、で、 どうすればいいの?」 「うん、それはね~このテーブルにこういう、絵を書いて。」 優一はテーブルの上に不思議な陣を書き初めた、円の中に不気味な瞳や星が描かれている。 「これでよしっ!、後はこの絵に手を置いて、呪文を唱えるんだってさ!」 呪文って、本当に怪しい本だな、誰だそんな本書いた奴は。 そうこうしている内に優一は本に書いてある呪文を唱え初めた、英語でも日本語でもない、言葉を読み上げている。呪文の詠唱が終わったようだ。
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