籠球

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「はぁ…はぁ…」 肩を上下させながら、目の前の誰も座っていないベンチを見下ろす。 わかっていたはずの光景なのに、どこか残念な気持ちになってる自分が情けなくなった…。 いい加減…忘れろよ!これじゃただの未練タラタラな野郎じゃねぇか…。 頬に滴る汗が、1滴落ちた。 体冷えるからそろそろ行くか。 「……おはよ槙原君」 振り返るとそこには、朝日に照らされながら微笑む葵がいた…。 「お、おはよ…」 マジかよ…。なんでいるんだよ? 「大会だと思うと緊張しちゃってさ…」 「そう、か…」 葵はやっぱり、葵じゃなくても葵なんだ…。 「……っ!!」 葵はいきなりしゃがみ込み、頭を押さえこんだ。 「大丈夫か!?」 「ま、前にも、こんなことがあったような…あっ!」 頭痛が激しくなったみたいで、葵は顔を歪めた…。
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