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渋谷駅はいつも通り糞込んでいた。壁に、裸の人間が埋め込んである。と思ったら、絵だった。広告の一種か。相変わらず自由な街。
「ミドリ~ゴメンね!ヘシオリにびっくりしたでしょ」
アオは自販機で缶コーヒーを二本買い、一本を僕に差し出した。僕はそれを受け取らない。
「別に。もう、どっか行って下さい」
「怒っちゃった?ゴメンってば」
アオはコーヒーを僕の手に握らせる。かがみ込み、僕の腕をなでる。そして胸の谷間を見せつけた。思わずどきん、とする。気持ち悪い奴……。狙ってなのか天然なのかはわからないが、こいつは悪女だ。
駅のベンチに座り、缶コーヒーのフタを開け、僕たちは飲んだ。
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