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アオだった。
ド派手女のサングラスの奥……確かに見覚えのある瞳。
文化祭からまだ一週間もたっていないのに。美術室での姿とは似ても似つかぬ。
「随分外見が変わりましたね」
僕が言うと、アオはけらけら笑った。そして、ピンクの髪をかき上げながら答える。
「外見に意味なんてないわ。パッケージの賞味期限が正しくても、中身が腐っていたら無価値。外見、それは詐欺よ」
話をややこしくするアオ。そこに、「曲がっている男」が割って入る。
「アオ。あまりややこしいことを言うんじゃない。どなたか知りませんが、失礼しました」
紳士的な男。曲がっている外見とは反対に、誠実な人間のようだ。
「そうだ、紹介してなかったわね。この子、絵描きのミドリ君。ミドリ君、こいつはヘシオリよ」
「ヘシオリ?」
「そう!へし折れてるでしょ!」
キャハハハハ、とアオは笑った。
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