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…もうすぐ私の家。
ミクは心持ち歩く速度が遅くなっている自分に気づく。
いつもそうだ。
もっとミクオ君と一緒にいたい。そう思うと自然と歩くのが遅くなる。
しかしその思いも虚しくミクが兄弟と住む家までついてしまった。
「んじゃ、また明日な」
ミクオの住むマンションは実はミクの家の方向とは逆。
ミクオはミクがそのことに気づいてないと思いながら、いつもミクを家まで送ってくれる。
じゃあな、帰ろうとするミクオの服の袖をミクは反射的に掴んでいた。
「…ミクオ君、今日うち寄っていかない?」
「え?なんで」
「今日みんな仕事でいないから…だから」
「え?」
はっとミクは我に帰る。これではこちらから誘っているようだ。
「な、なんでもない!また明日スタジオでね!」
ミクは顔が急激に赤くなっていくのを感じながら家のドアを乱暴に閉めた。
一瞬ミクオの顔が赤くなった気がしたが気のせいだろう。
「はぁーっ…。」
ペタンと玄関に座り込む。
なんて事いっちゃったんだろ…。
絶対ヘンに思われた…。
「どうしよ…」
ミクはミクオを思い出してほぅと小さく溜め息をついた。
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