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「遥さん、俺もう二年になるし制服位自分で着……」
俺の言葉はそこで止まった。なぜなら遥さんが無表情でこちらを見つめ目に涙を貯め始めたからだ。
……器用な。
「……れるけどやっぱり遥さんに着せてもらえると嬉しくてテンション上がるな俺!ハハハ」
すいません、俺遥さんにはめちゃめちゃ弱いんですよ。
「そっそうですか!それなら遠慮なさらず……私がいる限りずっと着せて差し上げますっ」
少し耳を赤くし視線を下に向ける遥さん。可愛いより美人な彼女だがこの時は可愛く見えた。
「うん、頼むよ」
「はい!これお弁当と鞄です」
そう言って渡され受け取る。今日は授業がないので鞄も軽いもんだ。
遥さんは三つ指をついて言う。
「それではいってらっしゃいませ誠様」
深々と頭を下げる遥さん。年上に頭下げられるのは違和感あるんだけど。まあ、いつもの事だから慣れた。
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