前門の虎、後門の狼

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するとそこには赤い特攻服に身を包む、金髪のやけに目つきが鋭い女がいた。 その眼光は突き刺さる程の力強さ。まるで獲物を見付けた狼のような瞳。 「初代卑弥呼総長遠山静香。お前も不良なら、名前くらいは聞いた事があるだろう?」 そう名乗った瞬間私服でこの女には遥かに劣るが、似たような鋭い雰囲気を持つ二十人程の男女が現れ囲まれた。 「遠山静香……?まさかあの!?」 うちの高校の先輩に聞いた事がある……喧嘩では俺も歯が立たない程の先輩が、震えながら言っていた。 睨まれた時点で終わりだから、何があっても近付くなと言われた女。 ……ちなみにその先輩はハンバーガーを投げ捨てしただけで、食べ物を粗末にするなと殴られ、抵抗したらボロボロにされたらしい。 レディースだがあまりの強さに男達も従っているらしい。 「数に任せるのは好きじゃないが。頼まれてね。うちの誠とおまけに馬鹿に手を出すとは……何されても文句はねぇな?」 髪を乱暴に掴まれ、激痛が走る。降りて来た仲間も他の卑弥呼メンバーに捕まっていく。 「あんたが望むならタイマンでもいいけどね」 その切れそうな程に鋭い眼光で威圧され、体が抵抗する事に拒否反応を起こしている。 「どうする?」 獲物を選定するように口元を楽しげに吊り上げ、俺の頭を掴み女とは思えない程の力で片手で宙に持ち上げてきた。 アハハ……終わった…… もう抵抗する気力など微塵も無くなった。
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