前門の虎、後門の狼

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「じゃあ今からそっち向かうから、静香姉も通報されないように気をつけて」 『大丈夫。そこら辺はうちの奴らが上手くやってるから……伊達に警察とバトルしてないからね』 頼もしい言葉。今度俺も静香姉にそこら辺の上手いやり方教えて貰おう。 『誠は普段こういう事やってんだね。姉ちゃんびっくりしたよ、アハハ』 「アハハたまにだと思いますよ……多分」 『よかったらうちのチームに入らないかい?』 ――雪鬼の名に咲く卑弥呼と特攻服―― 赤い特攻服に金属バットを肩に置くリーゼントの俺!同じく木刀片手にアフロの遠山!金髪パーマの未知! ……はっ!?何だ今の頭に浮かんだイメージは! 「いやぁ、それはちょっと遠慮しておくよ……遥さんに泣かれそうだし」 誠様をたぶらかす不届きな族など、私が成敗して来ます!いざ!とか言って箒片手に潰しに行きそうだし。 『そりゃ残念だね。半分冗談だけどさ』 半分本気だったのですか姐御!? 「とりあえず来栖に報告しながら、そっち行くからさ」 『了解』 来栖には問い詰めてやりたい所だけど、とりあえずきちんと報告だけはしなきゃいけないからな。 「静香姉」 『ん?』 「今日はありがとう」 『……電話じゃなく直接聞きたいかな』 なんだか残念そうな拗ねた声。静香姉は俺なんかより全然強くて格好いい人だけど、弱い所ももちろんある訳で…… 「すぐ行くから」 『待ってるよ』 さて早く行かないとな。あんな強い人が俺なんかの言葉で喜んでくれるなんて、正直に嬉しいと思った。 まあ、恋愛感情じゃなくて弟に甘えたい甘えられたい姉の図だけだろうけど……遠山は弟だけどあれだからなぁ。 立ち上がり埃りを払い、自然と足早になりながら下へと向かった。
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