前門の虎、後門の狼

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もう無視して電話に出る事にした。 「はい」 『桐沢すまねぇ。全滅した……』 「はあ?」 『桐沢。お前の送ってきた奴らは全員捕まえた』 え? 電話の声がいきなり変わった。これは……雪鬼誠の声。 『うん、優等生のあんたがこんな事やったなんてな』 ……やられた?あいつらが?中途半端な不良だから引き際は早いし捕まるなんて……いやそれ以前にあいつらはそこら辺のチンピラに比べたら全然強いから、あの人数で負ける訳がない。 『あんたとの関係は全部吐いてくれたからさ。おい!』 また声が変わる。 『……桐沢……悪い俺は降りるわ……もう関わりたくねぇ』 何よこれ……有り得ない。 『あー桐沢。続きはうちの来栖に聞いてくれ。いるだろそこに』 来栖……視線を目の前の女に移す。この短時間でもうパフェを食べ終えたようで、こちらをじっと見ている。 「何よあんたは……」 「…来栖は…誠の味方…」 雪鬼ファミリーって事?何で私のいる場所が分かったの?着けられた? のこのこ一人で現れたこいつをどうにかするべき……? 「…桐沢…」 「なっ何よ」 緊迫した空気が流れる中。来栖が口を開く。 「…ここのマズイコーヒー頼む人は桐沢か一見さんくらい…他のは結構イケるのに…味覚音痴なの…?」 …………私の緊張感素敵に削いでくれたわね。 わざとなら手強い相手だわ……
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