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「何よ……私の不良達の関係ばらすつもりかしら?」
そんなのいくらでもごまかせるように、準備くらいはしてある。私とあいつらに接点など見付からないし、追求を躱す嘘など幾重にも用意してある。
あいつらが何を言っても出まかせにしてやれる。
それにあいつらが暴れている時、私は客が少ないここにずっといた。店員も数少ない客の私の顔は覚えているだろうし。それに――
「…いいよ…別に言い訳考えなくても…あなたには脅しにならないのは分かってる…」
私の思考はその言葉に中断させられた。
「…別に不良達の事は何も言わない…あいつらはもう何も出来ないから…私がするのは提案…私達と勝負するといい…」
「勝負?」
「…日にちは今週の土曜日…勝負内容は今から決める…雪鬼ファミリーが勝ったら私達の言う事に服従すること…あ、遠山以外に…」
「はあ?なんでそんな勝負しなきゃいけないのよ?」
来栖はリュックサックから何かを掴みテーブルに置いた。
それは札束……!
「…百万円ある…」
「ふざけてるの?」
「…ん…?…少なかった…?」
ドサドサ!リュックの中身をテーブルにぶちまけた。
「…これが賞品…ちなみに勝負は校長の許可取った…負けたら必ず服従…買ったら一千万…」
校長!?校長の許可の元でやるなら約束を破れば大変な事になる。
けど一千万!?こんなお金どこから……一千万なんて喉から手が出る程欲しいに決まってるじゃない……一千万とか、馬鹿なのこの子……それだけ勝つ自信が?
「…やるの…?」
それはまるで悪魔の誘いに聞こえた。
「さあ、どうしようかしら……まずは詳しく聞かせて貰えるかしら」
勝てばいい。勝てば何も問題がない。ギャンブラーってこんな気分でやってるのかしら?
フフ、いいわ。後悔させてやる。
喫茶店で負けられない戦いに向けての準備が、着実に進んで行った。
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