汗と青春と部活のプレリュード

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遠山はまだ立ってはいたが脳を揺さぶられ平行感覚を失い、ふらふらと揺れながらやがて背後にバタンと倒れる。 そして俺は倒れたままの遠山の顔に突きを繰り出し、数センチ手前で拳を止めた。 「勝者!誠!」 未知の持つ紅白の旗の片方の白い旗が高らかに上がり、俺の勝利を知らせてくれる。 「ふぅ……」 新入部員達は俺達のレベルが高すぎて皆入るのを遠慮するのである。 未知でさえも武器を持たせれば、そこらの男子を遥かに越える強さを見せる。 部長は俺なんかよりも更に強い訳だが……遠山ははっきり言って一番弱い……ただ防御力とタフな回復力だけは誰よりも凄かったりする。 攻撃が大振り過ぎて隙だらけなので、せっかくの防御も役に立たない。打たれ強さだけは段々上がって行くのだが…… 道場に小さな拍手が響き渡る。 「誠、腕を上げたな。遠山はもっと鍛えなきゃダメだぜ?」 ニヤリと笑うこの男が部長の石島武。俺より頭一つ高い身長に筋肉隆々の体をしたいかにも格闘技向きの男だ。
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