chapter 1《窓際の彼》

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“窓際の彼”は ほんのり茶髪で 背は175センチくらい、 きれいな目をしていて、 細い指を持っている。 窓際の彼は時には 本を読んだり、 携帯を眺めていたり、 ぼんやりしていたりした。 私はそれをどうすることもせず うっとり彼を見つめていた。 みつめているだけで 私は幸せだったから。 そう今日までは。 今日という日がくるまでは…。 今日もいつもどおり、 窓際の彼は2時すぎに店に入り、 私がいるレジにきた。 いつものように注文をとり、 いつものようにお釣りを渡した。 そしていつものように、 コーヒーを持って窓際へ行く 彼の後ろ姿を見送った。 そこまでは 何もかもいつもどおり。
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