chapter2《リング》

19/19
前へ
/183ページ
次へ
それから数日経って、 私はお兄ちゃんの束縛から 逃れるために、 住所をあかさず ヒロの家へ 引っ越すことを決めた。 今逃げなければ 一生逃げられないことを 私はわかっていたからだ。 親の承諾を得ての判断に、 さすがのお兄ちゃんも 何も言わなかったけど…… 今後もヒロが狙われることは 目に見えていた。 それでもヒロは、 『俺がルイを守るから。』 そう言って、 今でも私の側にいてくれる。 あの時 お兄ちゃんに殴られた拍子に 手放してしまった あのシルバーリングは、 きっとまだお兄ちゃんの部屋で 大事に保管されているのだろう。 あのときの私の喜びと悲しみを その輝きに秘めたまま…。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加