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「ねぇ樹里知ってる?
ピンキーリングの話…。」
私はきょとんとして首を傾げた。
「入ってきた幸せは
小指から逃げていくから
ピンキーリングで
止めるんだって…。
幸せが逃げていかないように!」
私は疑うように
陽菜を見ながら笑った。
「信じてないでしょ!!
本当なんだから!!」
私はうんうんとうなずいた。
もちろん
信じてなんかいなかった。
「いつかお揃いのやつ買おうね!
お互いの幸せが
にげないように。」
陽菜は冗談で言ったことでも、
私には多大な影響を与えている。
陽菜の一言一言が
私を幸せにしてくれる。
指輪なんていらないと思った。
―…そうやっていつもどおりの
陽菜とのご飯の時間も過ぎていった。
陽菜に会う度に
陽菜を好きになる私だけど
こうやってまた
1ヶ月会わなければ大丈夫。
どちらかが
彼氏をつくらない限り
こんなばかげた気持ちは
冷めないよ。
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