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一週間がたった。
旅立ちの日が来た。
私と彼氏は
小さな鞄だけをもって
空港のロビーにいた。
荷物はもう新しい家に送った。
自分が決めた未来だから
思い残すことなんか
ないはずなのに…
陽菜のことが引っかかって
なかなか消えない。
―見送り行くから。―
陽菜はそう言った。
絶対そう言ったんだ。
本当はもう
持ち物検査を済ませて
搭乗口にいてもいいのに…。
彼は私に
「もういこう。また会えるって。」
って言ったけど、
私は彼の言葉を無視して
10分待った。ううん20分待った。
さらに30分待った。
でも40分は待てなかった…。
―搭乗口に行く時間がきた―
私は諦めて
ロビーの椅子から立ち上がり
荷物を検査するところへ
向かった
あそこを抜けるともう
陽菜にはあえない…
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