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少しこわばった笑顔を見せながらも,陽気な声で言った。
「このチビ,この土砂降りの雨の中,お前を浜から担いできたんだ。血相かえて。発見がもう少し遅れていたら危なかったぞ。よかったな。」
「うっせぇよ。なんで助けた…。殺しておけばよかったものを。」
男の言葉に飛優とドクターは呆気にとられた。
しばらくしてから,ドクターが口をひらいた。
「何があったからは知らないけれど、命を粗末にするもんじゃないぞ。チビは悪くないだろう?」
「余計なお世話。」
そっけなく言い返す男に飛優は怯えたように言う。
「…ごめんなさい。なんか…気付いたら"助けなきゃ"って体が勝手に動いてたんだ。」
「よければ,わし等に話してみないか?この島にはわし等の他に誰もいない。それに電波も何も届かないんだ。他言はできんよ。」
そういったドクターの目は“NO”とは言わせない不思議な力があった。
男は戸惑ったが,しばらくしてから重い口をゆっくりと開いた。
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