梟と猫

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「ういーす!帰りにカラオケ行かない?」  そう声をかけて来たのは、同じ孤児院仲間だった猿飛佐助だった  小太郎と同じ橙色の髪に愛らしいカチューシャ姿の佐助は、帰宅準備をしている小太郎を見つけると、嬉しそうに笑いかけてきた 「…」  プルプルと首を横に振ると、佐助は鼻の頭に貼った絆創膏を掻いた 「あれ?今日ってアルバイトの日だっけ?」  もう一度プルッと首を振った小太郎に、佐助は「歌わなくていいから行こ」と、その肩を抱いて強制連行の姿勢をとった 「佐助!あまり小太郎殿に無理強いしてはいけないでござる」  教室のドアから助け舟の声が聞こえ、二人で見れば、そこにはツンツンと跳ねた髪と赤い鉢巻きの少年が立っていた  真田幸村  佐助が養子になった武田家に一緒に住んでいる少年だった 「やだなぁ旦那。無理強いなんてしてないよ」 「本当でござるか?小太郎殿!」  へらりと答えた佐助を睨み、ハキハキとした口調で小太郎に問いかけた それに小太郎は慌てて縦に首を振る 「何やってんだよ?早くカラオケ行こうぜ。政宗の奴予約しちまったぜ?」  ヒョイと廊下から顔を出したのは銀髪の長曽我部元親だった
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