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松永は機嫌が良かった
それは、名器と言われる茶器を手に入れた時の様な高揚感だった
自分の足元に蹲るソレに、松永はゆっくりとしかし優しく話かけた
「では、小太郎…卿はこれから、この弾正に仕えるのだよ」
目元まで隠す兜によって、風魔の黒鴉の表情を読むのは難しい
しかし、松永にとってそんな事はそれほど問題では無かった
風魔小太郎が自分の元に降った
その事実だけで良かったからだ
(今はこれで構わないさ)
松永は、自分を見上げる小太郎の頬を優しく撫であげた
そんな主の行動を黙って受け入れる小太郎
その小太郎の行動が松永に悪戯心を生み出した
「契約の証だよ」
そう囁き、小太郎の顎を指で持ち上げた
顎を上げた事で薄く開いた唇に、自分のそれを重ねる
逃げようとした小太郎の頭を左手で固定し、その交わりを深くする
たっぷりとその唇を味わった松永が唇を離すと、頬を高揚させた小太郎の姿があった
その表情を見た松永に、深い笑みが溢れる
漆黒の兜にてをかけようとした瞬間、小太郎は忍らしい素早い動きで身を翻し 松永から遠のいた
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