梟と猫

9/16
前へ
/30ページ
次へ
「…」  携帯電話のディスプレイの通話時間を見て、小太郎は小さく溜め息をついた  バイト先の主人は何事も強引だ  長年人を使って来た癖なのだろうと小太郎は思った  養子となった北条氏政も似たような口調で話すからだ 「何?彼女?」  茶化す様な声色の元親に小太郎は小さな声で「バイト先の上司」と答えた 「バイト先の上司がなんだって?おめぇ今日は休みなんだろ?」  週に二回ある休みの日は、小太郎が好きに決めても構わないと言われていた 「夕飯食べようって…」 「はぁ? なんだそれ」 「…」 「下心でもあんじゃねぇ?」  そうからかう元親の目は好奇心に輝いていた 「年上ねぇ…まさか熟女じゃねえよな?」  元親の言葉に小太郎は思いっきり首を横に振った 「んじゃお姉さまかよ!かぁ~羨ましい!」 「元親ウルセェ!てめぇの番だっつーの」  男だと否定したかった小太郎だが、そう言う前に元親は政宗にこづかれ歌い始めてしまった  誤解を解きたかった小太郎だったが、今度は幸村と佐助に早く曲を入れる様催促され、慌てて数少ないレパートリーから曲を選び送信ボタンを押していた
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加