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「…」
携帯電話のディスプレイの通話時間を見て、小太郎は小さく溜め息をついた
バイト先の主人は何事も強引だ
長年人を使って来た癖なのだろうと小太郎は思った
養子となった北条氏政も似たような口調で話すからだ
「何?彼女?」
茶化す様な声色の元親に小太郎は小さな声で「バイト先の上司」と答えた
「バイト先の上司がなんだって?おめぇ今日は休みなんだろ?」
週に二回ある休みの日は、小太郎が好きに決めても構わないと言われていた
「夕飯食べようって…」
「はぁ? なんだそれ」
「…」
「下心でもあんじゃねぇ?」
そうからかう元親の目は好奇心に輝いていた
「年上ねぇ…まさか熟女じゃねえよな?」
元親の言葉に小太郎は思いっきり首を横に振った
「んじゃお姉さまかよ!かぁ~羨ましい!」
「元親ウルセェ!てめぇの番だっつーの」
男だと否定したかった小太郎だが、そう言う前に元親は政宗にこづかれ歌い始めてしまった
誤解を解きたかった小太郎だったが、今度は幸村と佐助に早く曲を入れる様催促され、慌てて数少ないレパートリーから曲を選び送信ボタンを押していた
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