124人が本棚に入れています
本棚に追加
毛利元就は受話器から聞こえる、カラオケと笑い声にその少女のような顔を歪めた。
「政宗…部屋の番号を早く教えろ」
[39だ…39!早く来い!]
「まったく…」
携帯をしまった元就に、一人の壮年の男が声をかけてきた
「すまないが、自由館というカラオケ屋を知らないか?」
声をかけられた元就は、一瞬に男の身なりをチェックする
カシミアのコートに一目でオーダーメードと分かるスーツ
サングラスをかけた姿は一見堅気には見えない
「構いませんよ。丁度そこに行く所でしたから」
「それは良かった。所で君は婆裟羅高校の生徒だね?」
「そうですが?」
そう答えた元就に、男は小さく笑みを作った
小太郎はそわそわと落ち着きが無かった
佐助の歌にも上の空、小太郎は携帯電話をいじったり意味もなくテーブルを拭いたりしていた
「なーにしてんの、次コタローの番だよ」
「…」
手渡されたマイクをじっと見つめる
画面には先ほど入力した男性アーティストの恋愛ソングのタイトルが流れた
前奏が流れ、小太郎はマイクを構えた
その時、部屋に遅れてきた元就が入ってくるのが見えた
最初のコメントを投稿しよう!