梟と猫

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「遅れた」  と、一言発し政宗の隣に座る元就  しかし、室内にいたメンバーは、元就よりもその後ろから入ってきた人物に釘付けだった  オールバックの髪には白髪が混じるものの、ガッシリとした肩幅とすらりと伸びた足  黒地に白のストライプが印象的なスーツ  その上に膝丈の漆黒のコートをはおった男は、かけていたサングラスを取って笑みを浮かべた 「やぁ小太郎」  小太郎は目の前に立つ松永の姿に見とれていた  何と言ってもスタイルが良い  昔はモデルをしていた、と言ってもバレないだろう  ぽかんとマイクを持ったままの小太郎を、松永はテーブルの反対側からヒョイと担ぎ出した  その早業に全員の顔が驚きに変わった 「では」  小太郎を小脇に抱えて直した松永が、軽く手を挙げて部屋を出ていこうとした  それに慌てて声を出したのは佐助だった 「ちょっと待ってよ!」 「?…ああ…カラオケ代か。少ないかもしれないが、これで良いかな?」  テーブルの上は三枚の福沢諭吉が乗った 「うわぁお!ゆきっちゃんだぁ!」  慶次の声を聞きながら、松永は有無を言わさず部屋を後にした  小太郎はマイクを持ったままだった
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