4人が本棚に入れています
本棚に追加
特に見舞いに来る者もなく、私の日々は単調にベッドの上で送られた。唯静かに時間だけが降り注いでいるのを感じる。――不自然な程に。
何故だろう。三日間も意識がなく、怪我もしていたと言う。なのに唯の一人として私を知る人は尋ね来ない。真坂此所が集中治療室だとも思えない。それにだ、部屋の外では一切声がしない。防音な訳ではないのだ。だって病院食を運んで来るカートの車輪の音は微かながら聞こえるのだから。
――此所は、何処だ?
「梶原さん、点滴交換しますね」
「、はい」
考え事を為ていた所為か、看護師が現れて驚いてしまった。
――嗚呼、そう言えば私は看護師は彼女しか知らない。医師も一人しか知らない。
不信感は募るばかり。
――私は、記憶を取り戻さなくてはならない。そんな気がした。
最初のコメントを投稿しよう!