緋色の記憶

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  特に見舞いに来る者もなく、私の日々は単調にベッドの上で送られた。唯静かに時間だけが降り注いでいるのを感じる。――不自然な程に。 何故だろう。三日間も意識がなく、怪我もしていたと言う。なのに唯の一人として私を知る人は尋ね来ない。真坂此所が集中治療室だとも思えない。それにだ、部屋の外では一切声がしない。防音な訳ではないのだ。だって病院食を運んで来るカートの車輪の音は微かながら聞こえるのだから。 ――此所は、何処だ? 「梶原さん、点滴交換しますね」 「、はい」 考え事を為ていた所為か、看護師が現れて驚いてしまった。 ――嗚呼、そう言えば私は看護師は彼女しか知らない。医師も一人しか知らない。 不信感は募るばかり。 ――私は、記憶を取り戻さなくてはならない。そんな気がした。  
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