緋色の記憶

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  体がふわふわする。 嗚呼、彼処に居るのは『私』だ。 私が探さなくてはいけない私。 ねぇ、どうして私を探さなくてはいけないの? …どうせ、誰にも必要とされていないのに。 ――――… 泣いている。 雪が降って居るのに、裸足で。 『どうしたの?』 あら、何だか自分の声が可笑しい。内側に響く様だ。 「アナタはだぁれ?」 泣く少女は、大きな瞳を涙で濡らしながら私を捕える。 『私は斎。貴方は?』 「あたしは…あたしは亜依奈」 『亜依奈ちゃん、何で外に居るの?』 「…お家に、入れないの…」 『え?』 どう言う事だろう。どう見たって部屋着だし、靴もない。 『えと、鍵が無いの?』 「…」 亜依奈は黙ったまま首を振る。 『…説明、為てくれる?』 何故貴方が独りなのか、何故貴方が泣いているのか ――何故、私は貴方なのか  
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