全力疾走

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説明しよう。 現在俺の背後から物凄い速さで俺を追い詰めようとしているのは、俺にとってのサタンでありデーモンであり、死神だ。 一般的な名称で言うならば『犬』。英語なら『dog』だ。 犬種? はっ、土佐犬やドーベルマンにでも追われてるとでも思ったか? チワワだバーカ!! 文句あるか!! 路地裏を抜け、再び住宅街に返り咲いた。子供達の笑い声が聞こえる。しめた、公園だ。 ビルに囲まれた古びれた公園。遊具の塗装が所々剥げているのを見ると、だいぶ整備されてないように思われた。 そんな公園の砂場に、小学5、6年ぐらいの子供達が集まっているのが見えた。 「ボウズどもーーっ!!」 俺が叫ぶと、ガキ共は遊ぶのを中断して俺を見た。 「あーっ! ナオだ! 何やってんだよ?」 「また遊ばれに来たのかー?」 えぇい、そんな戯れ言に付き合ってやる程の時間は残されていない! 俺はガキ共の内一人の肩をガシッと掴んだ。 「なっ、なんだよ?!」 「いいかボウズ。俺は現在子犬に追われるという大変な事態に陥っている。俺は犬が大ッ嫌いだ。対してお前らは犬が大好きだ。大好きだよな? それ程じゃなくても大好きと言えッ! 遊びたいよな? 子犬と遊びたいよな?! 今から来る犬を捕まえろ! そして遊んでやれ! どっぷり小一時間ぐらいな!! 俺はその隙に逃げるッ!!」 ボウズはポカンとしていたが、まあいい。これでガキ共はアイツを捕まえるはずだ。 その時、滑り込むような音と共に、ヤツが公園の入り口に姿を現した。 「ワンッ!!」 ちっ、もう追い付いたか。しかし、お前の追跡もここまでだ!
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