一攫千金

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「先輩に芸術的センスが皆無なのは明白だから……既存の物を作って売るとかしたらいいんじゃないですか? プラモデルとか」 「なるほど……。それなら俺にも出来そうだ。まぁ、プラモなんて小学校時代に作って以来だけど」 懐かしいなぁ。ブレードライガー作って、翌日に落としてブレード折って号泣したっけ。 「あ、私も昔作りましたよ。∞ジャスティスとか」 「私も書きましたよ。キラアスとかディアイザとか」 「え? そんなガンダムあったっけ?」 「相楽、それに触れるな」 とにかく……もうそれしか対抗策は無いかもな。幸い手先は器用な方だから、色々作れるかもしれないし。 「でも、センパイだとプラモってより、寧ろフィギュアの魔改造とかやってそうですよね。主にエロ方面で」 「わかるわかる。すっごいおっぱいにこだわり持って作りそう」 「あはは、キモイですねー」 「うんうん、確かにー」 「ねぇ君達」 ◇◇◇ それから俺は、フリマの日まで懸命に作品を作り続けた。眠くて重たくなった瞼を擦りつつ、時にリポビタンに、赤い牛さんに、怪物くんに頼り、ガルパンの放送が延びたことに涙を流し、懸命に作業をし続けた。 そして決戦当日。俺は最後の最後まで作品の微調整に取り組み続けた。そんな俺を茜が呼びに来て、ようやく俺はタイムアップを認めた。しかし、悔いはない。 ついに……ついに完成したんだ……! 「茜、瑠璃、美鳥、相楽の魔改造フィギュアが……!」 「そっちですか?!」 「え? 何が?」 俺の前に並ぶ4人の天使達。頭身からスリーサイズまで完璧に再現した俺の最高傑作。髪は流れるように、肌は柔らかそうに、表情はイキイキと! あの後返してもらったカメラで盗撮し続けた甲斐があったというものだ! 「え? 何が? じゃないですよ! 魔改造やってそうですよね、とは言いましたがこんな――うわっ! 何これすっごい精巧!」 「当然キャストオフも出来る」 「わ、私を脱がせないで下さい! ていうか、あんなに芸術的センスの無かったセンパイが、なんでこんなすごいの作れるんですか!」 「……いいか、茜。確かに俺にそういうセンスは無かった。手先が器用というだけで、魔改造などやったことはなかった。だが……」 「だが?」 「人は、エロが絡むと強くなれるのだよ……!」 「うわ、いい笑顔」
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