1──電話の向こうで

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  「それじゃあかけるからねー。ちゃんと見てなさいよ」 ハナは自分の机を取り囲んでいる六、七人の友達に、携帯の画面を見せながら言い放った。 あ……そうだ。右肩を押さえるんだっけ。 ハナは思い出したように左手を右肩の真上に置いた。 このポーズきついなぁ。この人たち……絶対に嫌がらせだ、こんなの。 人前での理解しがたいポーズをする恥ずかしさもそうだが、右手に持った携帯を耳に当てにくそうな感じがした。ほんのしばらく戸惑う。 しかし悩んでいても始まらないのでハナは覚悟を決めた。通話ボタンを押しながら耳に持ってくる。 すると──、  
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