始まりの約束

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「……人のベッドで何してんだ、小日向」 もし我が家が寝床もリビングも全て同じ部屋1LDKのような狭い家だったらこんなシチュエーションもあったかもしれないが、生憎そんなに狭くない。 ちゃんと一人一部屋与えられる広さはある。 だから何で朝から俺のベッドで寝ているのか皆目見当もつかなかった。 「に、に、に……」 真っ赤な顔のまま体全体を小刻みに震わせて‘に’を連呼する。 に……ニクソン大統領? 「に?」 朝早く、妹の口から第37大統領の名が出るはずもなく、完全なるお手上げだったので催促してみると、 「兄さんのせいでしょうが~~!」 と怒って部屋から飛び出してしまった。 「……俺のせい?」 ニクソンのせいではなくて? 結局俺は自分が抱いていたと思っていた抱き枕が器用にも部屋の隅の本棚に立てかけられているのを見つけるまでずっと首を捻っていた。 しかし昨日の夜は枕元にあったはずなのにどうやって……。
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