密室と蝋燭

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 薄暗い部屋の中心に、短い蝋燭が一本立っていた。  とても狭い部屋だったが、灯りがその蝋燭しかなく、部屋全体は見えなかった。  その部屋に男が一人いた。この部屋に来るまでの経緯は全く覚えていなかったが、酒を飲んでいた訳ではなさそうだった。ただ、頭はぼーっとしていた。  短い蝋燭は、1分足らずで燃え尽きようとしていた。  ぼーっとした頭で男はただ、炎と、さらに短くなってゆく蝋燭を見つめていた。  そして蝋燭の寿命が尽き、炎がフッと消えた瞬間、男は目を覚ました。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加