密室と蝋燭

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 彼は暗くなった部屋にいた。部屋は真っ暗だった。完全なる闇。いつもなら蝋燭が 溶けきった瞬間に夢から覚めていたのに………  彼と彼の家族は病院にいた。彼が横たわる病室とは違う部屋で、医者は彼の脳死を伝えた。  彼は暗い部屋にいた。壁が殴っても蹴っても壊れない事は既に分かっていた。蝋燭を溶かす炎も、もう無い。  彼は灯りのない部屋が、こんなにも黒くなることを知らなかった。
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