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草木も寝静まる真夜中。
屋根の上で一人,煌めく夜空を眺めている人影があった。
十二神将,勾陣だ。
この場所は彼女の好きな場所の一つ。
何故なら
「勾,こんな所にいたのか」
突然聞こえた声の方に勾陣はゆっくりと体を向ける。
彼女の隣に腰をおろした白い物の怪。
勾陣は答える代わりに黙って物の怪の頭を撫でた。
しばらくされるがままになっていた物の怪だったが,あまりに長い間撫でているので勾陣の手を払った。
「いい加減にしないか!
摩擦でハゲる!」
「いいじゃないか。
形のいい頭だな,と思っていただけだ」
よく晴明や本性の騰蛇がそう言って昌浩の頭を撫でていたのを覚えていたので言ってみたが,本当は何となくだった。
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