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突然,何の脈絡もない事を言い出した勾陣に物の怪が視線を向けたが彼女は"何でもない"と答えた。
しばらくの間,二人の間に沈黙が訪れる。
しかし,その沈黙は決して気まずいものではなく,むしろ心地よいものだった。
その沈黙を唐突に破ったのは,今回は珍しく勾陣の方だった。
「そう言えば,もう冬も近いんだな」
言葉を発することなく夜空を見上げていた時に頬に受けた風は,つい最近まで感じていたものより幾分か冷たかった。
「そうだな。
お前,そんな格好をしていて寒くないのか?」
何ともおかしなことを言う物の怪。
勾陣は呆れたように物の怪を顧みた。
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