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「…昌浩様に話すようなことではないのですが…」
「うん?
言ってみてよ」
にこりと笑う昌浩を見て,天后は晴明のことを思い出した。
彼もよく笑っては自分の話に耳を傾けてくれた。
本当にこの青年はどこまでも祖父に似ている。
そんなことを思いながら,天后は意を決したように口を開いた。
「名前が…」
「名前…?」
「…はい。
私達にはないもう一つの名前を持っている闘将達が羨ましいと…」
天后はそこまで言うと,キュッと口を堅く結び俯いてしまった。
一方の昌浩は彼女の意外な告白に目を丸くした。
そう言えば,前にも同じような事を誰かが言っていたような気がする。
しかしその頃,まだ半人前だった昌浩は自分のことで頭がいっぱいであまり気にとめていなかった。
あれは誰が言っていたっけ…
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