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どれくらい時間が過ぎただろう。
二人の間に長い沈黙が流れた。
それに耐えきれず,天后はチラッと昌浩を見ると,顎に手を置いてうーんと唸りながら何やら考えているようだ。
ああ。
やっぱり言わなければ良かった。
そうすれば,彼を困らさせずに済んだのに。
悔やむ気持ちを堪えながら天后は膝の上でギュッと拳を握り,昌浩に声をかけようと顔を上げた。
すると,今まで思案していた彼が突然あっと閃いたように声をあげる。
「ねぇ,天后っ!
"悠惟"ってどうかな?」
「え…?」
「天后のもう一つの名前。
羨ましいって言ってたでしょう?
だから考えたんだ!
ちゃんと意味もあるんだよ!」
呆気にとられている天后に昌浩は顔を綻ばせながら嬉々として話す。
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