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今…この青年は何と言ったのだろうか。
ひょっとして,自分の聞き間違いかもしれない。
耳を疑いたくなる彼の言葉に天后は暫し固まっていた。
そんな天后に構わず,昌浩は早く先が言いたいのか話を続けようと口を開く。
「それで意味はねっ!!
天后にはいつまでも相手を思う優しい気持ちを忘れないでほしい。
だから"悠惟"!」
「"悠惟"…」
「駄目かな?
俺は結構良い名前だと思ったんだけど…」
残念そうに肩を落としながら昌浩は天后をチラッと見てギョッとした。
彼女の目元に溢れんばかりの涙が溜まっていたからだ。
まさか天后が泣くなんて思ってもいなかった昌浩は文字通り慌てふためいた。
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