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消えないで…
微笑んだままの君が霞んでゆく…
君がいなくなるのか?
僕の意識が薄れているのか?
頬を流れる涙の感覚すらもう失われていて、
ただ無駄に流れる時だけが心を徐々に引き裂いてゆく…
散り散りになった心をかき集める哀れな僕は、
愛を忘れて。
蜃気楼が見える、
人が溢れる街が…
大地に落ちる君の涙がこの霧を晴らすなら…
蜃気楼は消え、
迷わずに君を抱きしめるだろう。
少しでも、
君が消えずに残っているのなら……
最期の一秒まで幸せを感じていたい。
幻に姿を変えた愛が脆くもこの手をすり抜けて、
僅かな温もりも奪い去る。
全ては無欠の蜃気楼。
僕の身体も魂も、
君の身体も魂も、
この愛でさえも、
さようなら…
僕も蜃気楼の中に消えよう…
愛と共に。
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