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菜の花を見ると
あの子のことを
思い出す
真っ黄色に染まった
あの河川敷
私についてこようと
川の流れもお構いなしに
一生懸命泳いでた
ついて来ても
何もないのにね
クリクリの目と
フサフサの尻尾
真っ直ぐに
私を見て追いかけてきた
次の日の朝
あの子の変わりはてた姿を
家の外で見つけたときは
体中が震えた
なんであの子が…
なんで…
なんで…
私はとても
無力でしかなかった
あの子の最後を
ただ見届けるしかなかった
拳をギュッとにぎりしめた
奥歯が痛くなる程
歯を食いしばった
助けてよと
叫んだけど
その願いは
叶わなかった
ごめんね
何も出来なくて
ごめんね
お話出来なくて
辛かったよね
ごめんね
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