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カッカッカッ…。地下室への階段を降りる。いよいよ今日から、最凶最悪の殺し合いが始まるのだ。彼女は胸が高まっていた。自分が…、最強の人形師であることを証明するための、待ちに待った最初であり最後の舞台なのだから…。
「これね…。」
少女の眼前には、黒く大きな箱。この中に、彼女の最強の武器が眠っているのだ…。
「さぁ、起きなさい。古の殺人兵器、キリングドールよ。」
彼女は箱を開け、手をナイフで切り、人形に血を垂らす。
「おはようございます。マスター。」
箱から起き上がったのは、身長190cmはあるピエロ(道化師)。
「おや、今回のマスターは可愛らしいお嬢さんでございますね…。」
「虫酸が走る挨拶はいいわ。それより…。」
彼女は苛立ってはいない。ただ、知りたいと言う欲求を早く満たしたかったのだ。この目の前に立つ、殺戮人形を。
「あなたの序列と特徴を教えてちょうだい。」
「はは、わかりました。せっかちなお嬢さんだ…。」
そう言って、ピエロは胸に手を当て、顔をぐんと彼女に近づける。
「私は9thキリングドール(9番目の殺戮人形)。特技は曲芸。好きな色は緑。一番好きだったマスターは…、」
バァン!!
彼女は拳で壁をぶん殴った。それは怒りの顔だった。
「もう一度、言ってみなさい…!!」
「も、もう一度と言うと…?」
ピエロは焦る。可愛らしい容姿とは裏腹に、怒りの炎を纏った阿修羅がそこにいたのだから。
「序列よ!序列!もう一度言いなさい!!」
「で、ですから、9thキリングドール(9番目の殺戮人形)と…。」
メラメラ…。彼女の怒りの炎が巨大化する。人を殺すために作られた人形が、後退りをしてしまうほどに…。
「あ、あんた…!!」
「な、何かな…?」
「最っっっっっ弱じゃなぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」
ドカァァァァァン…!!
彼女の家が…、震えた…。
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