殺人劇、前座、第二幕

3/8
前へ
/116ページ
次へ
最っ悪!! 今まで生きてきた中で一番気分が悪い!自慢じゃないけど、私の家は人形師の名家で、昔は最強の人形師と言われていた!なのに! 9番目って何よ!9番目って! 序列ってのは、前回の戦いでの順位で、9体居る人形の中で9番目ってのは…、一番弱い人形ってことじゃない!   「そう怒らないでください…。私とて、ふざけて戦ったわけではないのですから…。」   廊下をドスドス歩く私をなだめようとする、このピエロ!あんたのせいだっての!   「その前の戦いは!?」   「じ、序列でございますか…?」   「そうよ!それ以外にあると思うの!?」   「え、えぇと…。確か、9thだったような…。」   ピタリ。私はにっこりと微笑む。ふふ…。この野郎…♪   「もう、最悪!えぇ、最悪ですとも!!わかった!わかったわよ!もうあんたには頼らない!!私は私の力で最強の人形師を目指すわ!」   ふん!何よ!どうせ、その前も、そしてその前も最弱だったんでしょ!!   「あのー…。」   ドスドスと速歩きで自室に向かって行った彼女には、この後のピエロの呟きは聞こえなかった。   「最初の戦いは…、1stだったのですがね…。」   …、キリキリ…。 今、私は人形を自作中。あの人形が当てにならない限り、私が補うしかない…!キリングドール級までとは行かなくても、確実に相手の戦略を削ることはできる…!   「失礼しますよ。マスター。」   ギィ…。私の部屋のドアが開く。そこからは…、さっきの木偶の坊が…!   「マスター。まだ誓約が完全には終わってはいません。」   「…、なんですって…!?」   血だけじゃたりないっての!?この木偶の坊!でかいから燃費も悪いの!?   「私を、認めてくださいませ…。」   綺麗なお辞儀をする木偶の坊。これを…、拒否すれば…、死ぬでしょうね。最弱とは言っても、こいつはキリングドール。人を殺すことに特化した人形…。   「わかったわ。私はあなたを認めます。」   「ありがとうございます。さて、私は貴女をなんと呼べばよろしいでしょう?」   「…、は?マスターでいいでしょ?」   「それだけでは味気無いでしょう?せめて、名前だけでも教えていただければ、と。」   …、こいつ…。めんどくさいわ…。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

283人が本棚に入れています
本棚に追加