殺人劇、前座

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ガラガラ…、ドサッ。 頭上から何かが落ちてきた…。さっきの衝撃で落ちて来たのか…。   「ギッ!?」   ん…?何やらヤツが驚いている…。なんなんだ…? 俺の目の前には…、等身大の、赤いドレスを来た、可愛い女の子の人形があった…。 綺麗だな…。俺は、こんな状態で、こんな状況で、そんなことを思っていた…。   「カハッ…!」   また血を吐いてしまった。その血が…、人形にかかってしまう。 その瞬間…、人形が起き上がった。   「血の誓約が完了いたしました。」   そして喋った…!?   「おはようございます。マスター。」   「ギィアアア!!」   ジャラララ…! 俺の目の前の赤いドレスの人形に向かって、ヤツが斧を投げて来た…!   「あ、危ない…!」   その【赤ドレス】は斧を半身を捻ってかわす。ドガァ!と、蔵の壁に斧が突き刺さる。   「マスター。その斧を掴んで下さい!」   そう言うと、赤ドレスは凄いスピードでヤツに走り出した。   「え…!?ちょ…!?」   訳も解らず俺は斧の柄を握った。   「ギ!ギ!?」   ヤツは斧を投げてしまい、そして俺が斧を抑えているから、武器は無い…。そういうことか…!   「ギッ!?」   ドガァァァァ!! そんなことを考えていたら、赤ドレスがヤツを掌底で吹っ飛ばしていた。 俺はすぐに外に出た。そこでは、ヤツと、赤ドレスの壮絶な格闘が始まっていた。   「ギアァァァァァ!!」   叫び声をあげて襲いかかる木こり。 それに対し、無言で格闘をする赤ドレス。 ドガァ! バキィ! ギシッ! 激しい音が聴こえてくる。戦況は…、赤ドレスが不利に見える。木こりのスピードに赤ドレスはついて行けていない。 ドガァ! 赤ドレスが蹴り飛ばされた。それでも赤ドレスは木こりに向かって行く。 また数回殴り合い、また赤ドレスは壁に蹴り飛ばされる。そこで、赤ドレスは…、何故か自分の左手の小指を…、引っこ抜いた。 追い討ちを掛けようと、木こりが赤ドレスに飛びかかって行く。 赤ドレスは、木こりに自分の小指を投げつけ、叫んだ。
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