殺人劇、前座

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「エクス(我、)…。」   「ギギ…!?」   赤ドレスの小指は、木こりの口の中に入る。   「プロージョン(紅蓮の身)!!」   カッ! 一瞬、眩い光が発生し、 ドガァァァァン…。 …、爆発した。 煙幕の中から現れたのは、頭が無くなり、そこから下が黒焦げになっている木こりだった。   「あ、あ…。」   もう、何がなんだか…。   「大丈夫ですか?マスター。」   赤ドレスが俺に手を差し伸べてくれた。   「あ、あぁ…。」   俺は素直に手を取る。冷たい手だった。   「と、とりあえず…、説明してくれないか…?」   「はい。わかりました。」   …、居間に移動した。赤ドレスは立ったままだ。   「あ、自由に座ってくれ。」   と、言うと、   「ありがとうございます。」   と、言って、シュタ、と綺麗に座った。 しかし…、この居間にこの赤ドレスは正直浮いてるな…。 それに、ところどころ傷が…。   「大丈夫…、か?」   「私のことですか?」   「いや、お前以外にいないだろ。」   「私が大丈夫に見えないのなら、貴方が直してください。」   「え、治すって…?」   「人形師ならば、人形を戦わせ、傷ついたならば直すのが生き抜く術。先代から教わってはいないのですか?」   「い、言っている意味がわからない…。」   「?貴方は、人形師では無いのですか?」   頭にでっかい?マークを浮かべ、俺を見つめる赤ドレス。やめろ、照れる。じゃなくって!   「な、なんなんだ、その、人形師ってのは…!?」   赤ドレスは、驚いた様な、呆れた様な態度で、   「わかりました。最初から説明しましょう。」   全てを話してくれた…。   「私たちは…、およそ100年前に作られました。…、私は違いますが。」   「え、じゃあ、赤ド…、君はいくつなの?」   「私は…、つい最近です。20年ほど前です。」   俺より年上なのか…。なんか、軽くショックだ…。   「続けてもよろしいですか?」   「あ、あぁ、すまん…。続けてくれ…。」   「私たちを作った9人の人形師たちは皆こう言いました。『我が作った人形こそが至高。』しかし、いくら話しても人形師たちは一歩も譲らなかった。そして…、始まったのです。この殺人劇が。」
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