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「わ、わかった…。俺は、その…、人形師とかじゃないけど…。よろしく頼む…。」
「はい。よろしくお願いします。マスター。」
「…、俺は水橋 里流って言うんだ。気軽に名前で呼んで貰うと助かる…。」
「なぜですか?マスターはマスターでしょう?」
「いや、俺はマスターなんて呼ばれるのは恥ずかしいし…。君ともう少し親密な関係でいたいって言うか…。ほら、これから背中を預け合うんだし。」
「…。わかりました。では、里流。よろしくお願いします。」
「あぁ、よろしく…。」
なんか…、名前で呼ばれるのも恥ずかしいな…。
「あ、ところで、君の名前は?」
「…、物の名前は持ち主が決めてください。」
好きな様に呼べってことか…。うーん…。あれ、そういや、小さい頃によく母さんに呼んでもらった絵本の主人公も女の子だったような…。ちょうど彼女くらいの…。
アリス…?アリスだ。不思議の国のアリス。
「アリス…、ってのはどうかな…?」
アリス(仮)は、じっと俺を見つめて、
「素敵な名前をありがとうございます。」
と、にっこりと笑った。
…、彼女がアリスなら、俺はチェシャ猫、なんだろうか…。
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