~第 二 章~『 衝撃 』

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「午後からの授業は中止だ。一斉下校してくれ」  暫く、しんと静まり返り、途端に「やったー!」「早く帰れる!」という声が響く。 だが、それにしては池上がとても苦々しい顔をしているため、すぐに生徒は空気のおかしさを感じ取り、黙った。 そして、池上は重々しく口を開いた。 「2Bの乾 彩乃(いぬい あやの)――、中学が一緒とかで知っている者もいると思うが――」  涼子は頭にその生徒の姿を思い浮かべる。 彼女の頭に茶髪のツインテールが特徴の、派手な化粧をした少女が浮かぶ。 しかし、涼子は彼女と出身中学校が違うし、同じクラスになったこともなければ、面識も廊下ですれ違った程しかないので、一体何があったのか分からなかった。  そして次の瞬間――池上の言った言葉に、教室の空気が凍りついた。
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