第三章  坂崎コウ君の非日常②

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学校の自転車置き場に乱雑に並べられた自転車の中から、自分の自転車をムリヤリ引っ張り出す。 鍵はあってないようなものなので、かけていない。 と。 自転車に跨っていると。 なぜか後方に鷹虎。鷹虎様。 ホワイ? タカに学校紹介受けるんやなかったの? ……帰ろ。 なんか物凄いコッチ見てるけど、知ったことか。もうこれ以上、鷹虎に振り回されるのは、御免だ。 2秒後、即チャリで逃走。 後ろを振り向くと、後方で鷹虎がこちらに走ってくるのが見える。 追っかけきているようだが、知るか。 チャリの速度を上げる。 わはは。鷹虎。 追いつこうなどとは、100年早いわ! これでも毎日チャリ通で鍛えているのだよ、明智君!いや、鷹虎君! でも、何だかんだで家とか突き止められても、迷惑だとか思うチキンな僕。 少年探偵団とか、物凄くうざそうだし。 ………撒くか。 思い立ったら、即行動。行動力と逃げの速さだけは昔からピカイチなのだ。 自転車のハンドルを右に切り、いつもは使わない通路に入る。 そこで、ある思いつき。 上手くいけば、鷹虎に仕返しができる。 ふふふ………鷹虎め。見てろよ。昼寝を邪魔した代償はデカいんだ。 グフフという悪代官的な笑みを浮かべつつ、廃工場の裏手に回り、隠れる。 お、来た。 1分遅れで、鷹虎到着。 僕の前を通り過ぎ、そのまま廃工場の前へ。待ち構えるは、ヤンキー軍団。 そう。 ここは、近くの不良高校の奴らが屯してる場所。 ここの不良は、時代という流れに取り残された、過去の遺物的な根性系の不良が多い。 普段は近寄らないが、今日は上手くいけば鷹虎が絡まれるのでは、と画策したわけだ。 ホラ、鷹虎目つき悪いし。 十中八九絡まれるだろう。では、傍観者と洒落込もうか。
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