第五章  坂崎コウ君の非日常③

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そして、タカが購買の人混みに入って行くのを見送ると、また誰かに肩を叩かれる。 無意識的に振り向いた、次の瞬間。 体が浮いた。宙に。 何が起きた? 自分が宙に浮いた原因を省みる。 首根っこが締め付けられているような苦しさがある。 どうやら、首根っこが浮いたせいで、僕の体は浮いたようだ。 そして、それを掴んでいるのは鷹虎。 思考が停止する。 種も稲も種子もありません。デイビッド・カッパーフィールド降臨!という超魔術ではないらしい。 こんな軽々と僕の体を。 ……………怖い。 怖いよ!下ろして! いや、下ろして下さいませ鷹虎様!ホークタイガー様! そして、そのまま歩き出す鷹虎。そして、耳元で一言。 「次…もし変な事したら………殺すぞ」 チビった。マジで。 もう高校生な僕。「友達ひゃっくにん出来るかな♪」の時代をとうに過ぎ去った僕が。 チビりました。母さん。中一の時にスイカを食べ過ぎて、怖い夢を見た時以来、久々にチビりました。いや、あれはお漏らしだ。落ち着け。ムーニーマンにお世話になった僕、落ち着け。 朝思った事を前言撤回。 確信した。 コイツは全然イイ奴ではない。 悪魔だ。悪魔くんだ。 少なくとも、人の気持ちを全く省みない点から考えて。 前略。母さん。あなたの息子は隣の席のホークタイガーに殺されて、短い生涯を終えるかもしれません。その時は、私の死体を火葬して、その灰を夕陽が綺麗に見える丘に蒔いて下さい。お願いします。 こうして鷹虎VS僕の直接対決が実現した。やけに強制的で一方的なものだったが。
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