第五章  坂崎コウ君の非日常③

8/10
前へ
/363ページ
次へ
黙っていても埒が明かないので、正直に告白した。 「FFずっとやってました。スイマセン」 そう返答した瞬間。 周りの空気から和やかさが消え去り、怒気をはらんだ空気へと変わった。 「しらばっくれてんじゃねぇよ……!!」 突如、胸倉を掴み、僕の体を体育館の壁に押し付ける鷹虎。 すげぇ痛い。 でも、それ以上に―――怖い。 そして、シリアスだ。 ふざけたつもりもしらばっくれたつもりも毛頭ないが、鷹虎がキレたことだけは確かだった。 「てめぇは!……てめぇは、夜中、街を徘徊してただろ!」 そんな事はしていない。それではただの危ない人になってしまう。鷹虎の予想外の怒りに対しても、まだ頭は冷静だった。 そして。 鷹虎は僕に言葉をぶつけた。 衝撃的で。 その一言で、日常なんてあっさりと置いていってしまうような、そんな言葉を。 「そして………俺の彼女を―――麻美を!!殺したんだろ!!」 こうして―――コイツは、僕のあくまで日常の範疇にあった、非日常すらも――――完璧に、完全に、ぶち壊した。  
/363ページ

最初のコメントを投稿しよう!

422人が本棚に入れています
本棚に追加